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2025.03.05

世代を超え受け継がれる「英国風黒カレー」と世界のカップで過ごす、温かなひととき

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世代を超え受け継がれる「英国風黒カレー」と世界のカップで過ごす、温かなひととき

1970年代頃からの喫茶店でコーヒーを飲む文化とともに、「深煎り」や「自家焙煎」といった言葉が息づいてきたまち、札幌。

コーヒーのふわりと漂う香りとともに、居心地のよい空間を提案するお店が数多く存在し、時代を経ても変わらぬ佇まいと味でもてなす喫茶店から、味と技を磨きつづける自家焙煎コーヒーのお店、時代やニーズを捉え変化しつづけるお店まで、さまざまなスタイルで訪れる方を迎えています。

家族のように慕われる店主が営むお店

地下鉄「西11丁目駅」から歩くこと5分、路面電車が走る通り沿いに面したビルの2階にかまえる、その店の名は「Coffee gallery Clement(コーヒーギャラリークレメント)」。

円山地区で1987(昭和62)年に開業し、現在の「ココノススキノ」に生まれ変わる前の「ロビンソン百貨店札幌」「ススキノラフィラ」での営業を経てこの場所へ。壁にかかる革製の看板に刻まれた味のある「Clement」の文字が、目を惹きます。

店内へと足を踏み入れると、中央の大きなテーブルを囲むようにテーブル席とカウンター席が設けられ、温かな照明が落ち着きのある穏やかな空間を演出。いけばな「嵯峨御流(さがごりゅう)」目代としての顔をもつ店主自身が生けた、迎え花が存在感を放ちます。

お店に足繁く通う方が父や祖父のように慕う店主、古屋 嘉章(ふるや よしのり)さんが切り盛りするお店には、親子3代にわたって訪れるお客さまがいるとか。喫茶店の道に進んだ経緯や、愛されてきたお店の魅力に迫ります。

師匠との出会いから喫茶店の道へ

ことのはじまりから細やかに時間をかけて語ってくれた店主の古屋さん

ことのはじまりから細やかに時間をかけて語ってくれた店主の古屋さん

「ここが僕の師匠の店なんです。」

そう言いながら差し出してくれたのは、「喫茶レイロ」と書かれた懐かしさを思わせるマッチ箱。同店は市内で7店舗あったうちの第1号店として1962(昭和37)年にオープン。当時古屋さんが暮らしていた自宅から徒歩3分ほどの場所にあったこのお店で、のちに“師匠”と呼ぶことになる大山 邦彦(おおやま くにひこ)さんと出会います。

「中学生の頃、おふくろの買いもの帰りについて行ったのが最初で、一人で行くようになったのは高校生くらいになってから。当時の『少年ジャンプ』『サンデー』といった漫画本がすべて揃っているお店でしたね。」

ある時、一人で訪れるようになった古屋さんに、大山さんは「自分で稼いでもいないのに、よくのうのうと座ってお茶を飲んでいられるな。」そうきっぱりと伝えることもあったそう。

当時は投げかけられた言葉に驚きつつも、心の底から古屋さんのことを想い“ダメなことはダメだ”と、愛をもって叱ってくれる大山さんの人との向き合い方に、次第に興味をもつように。その後、自ら志願しアルバイトとして働くことになったのでした。

遅刻はもちろん、食器をがさつに扱うことや、人のことを考えず自分ばかりを優先するようなことがあった時には、特に厳しかったという師匠の下で経験を積んだ古屋さん。師匠へのあこがれと、お客さまに喜ばれる経験、そして“習うことや人に伝えることが好き”との想いが募り、修行を重ねて自身のお店をもつに至りました。

手間ひまかけて仕込む「英国風黒カレー」

そんな師匠、大山さんが札幌の洋食屋のシェフから教わった味を再現し、お店で提供していたというメニューが「英国風黒(ブラック)カレー」です。その味を古屋さんが受け継ぎ、今や「Coffee gallery Clement」の代名詞として定着するほどの看板メニューに。このカレーには、大山さんの時代から数えて60年を超える歴史が積み重なっています。

「まずバターと薄力粉を焦げる直前まで30分ひたすら炒めつづけるんですね。煙がすごく出るので中身をしっかり見抜きつつ、炒めたら一気に水を入れて炭にならないよう“焼き”を止める。それから、スパイスを加えてベースのルーを作ります。」

この“ベースの作り方”は大山さんが作っていた頃から変わらないもの。後半の工程には、肉や玉ねぎ、食べる甘酒「オリゼ」、りんごジュース、フルーツチャツネ、オリゴ糖を入れよく煮込むなど、使用する材料に古屋さんならではのアレンジを少し加えているといいます。

「クレメント風オムレツ(カレーがけ)」。ランチメニューには、サラダ・お味噌汁・ジェラートが付く

「クレメント風オムレツ(カレーがけ)」。ランチメニューには、サラダ・お味噌汁・ジェラートが付く

水と砂糖はほぼ使わず、最後はルーと合わせて練りこみ、艶が出たら完成。この“黒さ”の理由は、8時間以上にもおよぶ手間ひまかけた仕込みによって生み出されているのです。

店内の明かりに照らされ、艶やかさを増す「英国風黒カレー」。うま味、そしてほんのりと感じる甘みの奥にじんわり広がるスパイス。黒カレーそのものの味わいをしっかりと堪能したい方は、王道の「カレー」を。

チーズとハムを包んだ「クレメント風オムレツ」を注文すれば、ソースとしてカレーを選ぶことができるため、玉子とのハーモニーを感じつつ、よりまろやかな味わいを楽しむこともできます。

アート作品のような“世界のカップ”

 その時の好みや気分に合わせてカップを選ぶ楽しみがある(混雑するランチタイムはのぞく)

その時の好みや気分に合わせてカップを選ぶ楽しみがある(混雑するランチタイムはのぞく)

「Coffee gallery Clement」の魅力は、カレーだけに留まりません。

カウンターを挟んで向こう側の棚にずらりと並ぶのは、国内外から集められた120客を超えるカップ&ソーサー。その美しく整然とした佇まいは、まるでアート作品のようです。

古屋さんの琴線に触れた国内外のものをはじめ、大正時代に東洋陶器(現在のTOTO)で作られたもの、ノリタケが誇る100年もの、最上段には縁のある札幌近郊の作家によって作られた陶器製のものまで、それぞれに異なるルーツや物語をもつ個性に富んだカップばかり。

「話せば2時間はかかります。」そう笑いながらも、カップの生まれや歴史、材質などについて、古屋さんは時間の許すかぎり言葉を紡ぎます。

人気の「インペリアル・ポーセリン(ロモノーソフ)」は、270年以上の歴史を誇るロシア皇帝に愛されたブランド

人気の「インペリアル・ポーセリン(ロモノーソフ)」は、270年以上の歴史を誇るロシア皇帝に愛されたブランド

そんな「Coffee gallery Clement」のコーヒーの特徴を尋ねると「うちの場合は“昭和のコーヒー”で、深くて苦みがあって、濃いですね。」と、古屋さん。ストレートには、札幌で創業50年を超える「自家焙煎珈琲の店蔵人(クロード)」の豆を。ブレンドには「サッポロウエシマコーヒー」の豆をさらに独自にブレンドし、提供しているとのこと。

選ぶカップの形によって、コーヒーや紅茶を淹れた時の香りの広がり方や口当たりもさまざま。自分のために選んだカップで過ごす優雅なひとときに、旅の疲れもどこかに飛んでいってしまいそうです。

季節を映し出したデザート

 専用の型で作るという「シマエナガのパンナコッタ」

専用の型で作るという「シマエナガのパンナコッタ」

コーヒーや紅茶のおいしさを引き立てる季節のデザートも、見逃せません。寒さ厳しい季節に堪能したいのは、例年「さっぽろ雪まつり」の期間のみ提供しているという、“雪の妖精”「シマエナガのパンナコッタ」。スプーンを通すのがはばかられるほど愛らしい姿に、眺めているだけで心が和みます。

お店で1番人気の「カボチャのクリームチーズケーキ」

お店で1番人気の「カボチャのクリームチーズケーキ」

そしてこれからの暖かい季節、夏頃になると登場する「カボチャのクリームチーズケーキ」は、丸ごと蒸したカボチャを使った最も人気が高いデザートなのだそう。

春は桜、秋は栗と、その時々の季節を映しだす「Coffee gallery Clement」の一皿。訪れるたびに次の季節がやってくるのが待ちどおしくなりそうです。

“おいしい”を超える価値を届けていく

奥につづく個室では、時折ギャラリースペースとして作家の展示も行っている

奥につづく個室では、時折ギャラリースペースとして作家の展示も行っている

「喫茶店はもちろん、くつろげる場所で、おいしいものを提供するのは当たり前なんですけど、そこにプラスアルファで付加価値がつくからこそ長続きするんじゃないかなと。うちではそれが“人と人を繋ぐこと”なんです。」

「いろいろな人に出会い、知り合いになっていく。相談を受け、頼られることもある。これほどおもしろい商売は、ほかにないと思っています。」

場所を移しながらも約40年をかけコツコツと創りあげてきた古屋さんならではの空間には、それぞれが親しんできた味、そして家族のような温かさを求めて、今日も世代を超えさまざまな背景をもつ人が集います。


Coffee gallery Clement(コーヒーギャラリークレメント)  
住所:北海道札幌市中央区南1条西13 フナコシヤ南一条ビル 2階 
電話番号:011-242-9106 
アクセス:地下鉄東西線「西11丁目駅」より徒歩5分 
SNS:https://www.instagram.com/clement_9106/  

*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。